三上康雄が自主映画として監督しました4作品、「荒野の狼」、「乱流の果て」、「二天一流」、「闘争の宴」を紹介いたします。

■荒野の狼(1976年作品)

かいせつ 関西自主映画界でアクション映画の短編を監督していた三上康雄が本格的なアクション作品に挑んだ実質的なデビュー作。青春や日常を描いた作品が多い自主映画界で、かなりの異色作。大阪から、南紀和歌山の白浜へと犯人を追う"狼"と呼ばれる刑事のアクションと葛藤を描いている。カーチェイス、銃撃、海岸での闘いとアクションシーンが連続する。

ものがたり 連続企業爆破犯を捕らえる“狼”と呼ばれる刑事。しかし、逃げようとする犯人を「悪はくたばれ」 の一言で射殺してしまう。刑事は和歌山県の地方警察署に左遷される。この平穏な町で、次々に人びとが射殺される。容疑者が連行され、尋問する刑事。刑事は 容赦なく暴行を与える。しかし、その容疑者にはアリバイがあり、無実であった。刑事は謹慎を言い渡され、酒を浴びる。容疑者の「国家権力の犬」という言葉が頭から離れない。自分は、しょせんは国家の“飼い犬”なのか……その時、連続射殺犯から呼び出しがある。刑事 は犯人を追う一匹の“狼”として、荒野で闘う。

(かいせつ、ものがたりは、キネマ旬報・映画データベースより転載)

■乱流の果て(1977年作品)

かいせつ 関西自主映画界でアクションを得意とする三上康雄が監督した時代劇。宮本武蔵を題材に奈良宝蔵院での阿厳~京都蓮台寺野での吉岡清十郎との闘いを中心に、自らの目標である剣の道に唯我独尊に猛進する武蔵と、それに翻弄される人達を描いている。ナレーターには俳優の田村高廣が特別参加している。

ものがたり 奈良興福寺宝蔵院で阿厳の槍を倒した武蔵。京都の剣の名門、吉岡家の長男の清十郎は、重圧で酒と女におぼれていた。そこへ武蔵からの挑戦状が届けられる。うろたえる吉岡一門。独りであるゆえに自らの目標である剣の道をひたすら進む武蔵と、名門の子であるがゆえに剣の道から逃げられない清十郎。二人の闘いは京都洛北蓮台寺野で決することになる。

ナレーター 田村高廣(特別協力)
(かいせつ、ものがたりは、キネマ旬報・映画データベースより転載)

■二天一流(1978年作品)

かいせつ 前作「乱流の果て」に続いて三上康雄が監督した宮本武蔵二部作の完結編。三十三間堂~一乗寺下り松~厳流島での闘いを描いている。自らの目標である剣の道に唯我独尊に猛進する武蔵が、小次郎と闘いの後に掴んだものとは?四季の風景をおりこみながら、得意の殺陣シーンを満載。ナレーターには、前作に引き続いて俳優の田村高廣が特別参加している。

ものがたり ひたすらに剣の道に猛進する武蔵。蓮華王院三間堂では吉岡伝七郎を破り、一乗寺下り松では吉岡一門を破る。闘いで傷ついた武蔵は村娘の志乃と出会う。そこでの生活で安らぎを得るが、剣の道を選び、数年間、山中で修行に励む。そして、豊前小倉沖船島(厳流島)での佐々木小次郎との試合が申し入れられる。しかし、己れが剣の道を猛進することは他の人を翻弄してしまうことに気づいた武蔵の胸中は複雑だった。武蔵は「逃げられぬ。だから闘う」と決心する。小倉への道には他の村人に嫁ぎ赤子を抱いている志乃がいた。武蔵には戻るところもなかった。試合後、武蔵に去来するものは、小次郎に勝利した喜びではなかった……。

ナレーター 田村高廣(特別協力)
(かいせつ、ものがたりは、キネマ旬報・映画データベースより転載)

■闘争の宴(1979年作品)

かいせつ 時代劇やシリアスな活劇を監督している三上康雄にとっては唯一の荒唐無稽なアクション映画。サラリーマンがハンググライダー、カーチェイス、殺陣、カンフーを駆使して神戸の組織暴力団と闘う。神戸、琵琶湖、信州駒ケ岳、サンフランシスコロケを敢行。

ものがたり 友人の事故死に不審を抱いたサラリーマンの高杉は、神戸の組織暴力団に復讐を誓い、ひとりひとりを殺していく。琵琶湖でクルージングをする榊原組々員のクルーザーにハンググライダーで急襲、六甲山で榊原組々員の車を単車で追跡等を行う。しかし、その無謀なやり方に恋人も去っていくが、高杉は榊原組々員と信州駒ヶ岳の雪中で闘う。しかし、組長はヤクの取引でサンフランシスコにいると聞く。高杉はサンフランシスコに乗り込む。

(かいせつ、ものがたりは、キネマ旬報・映画データベースより転載)